手紙



引き出しをひっくり返し

ローンで買ったバイクの支払用紙を

苛立つジメジメとした熱気が包む

暗く狭い部屋の台所で

汗を滲ませ探していた


なのに出てくるモノは

もう顔すら思い出せない

遠い昔のお前の手紙

なのに胸だけ締め付けられる


茶色の便箋に閉じ込められた

いつでも俺を馬鹿にして

楽しそうに笑っていた

お前の思い出が

何かのスイッチを押すようだ


文面はやけに事務的で俺をがっくりさせたが

最後の一文が忘れられないままだった


「今度会うときは覚悟してろよ!」


不器用ながらも今度も会うことを

期待していたのかもしれないと


そして「今度」会うつもりだった



バイクのローンは十二回の

月四万のリボ払いだっけ

もう一回引き出しをひっくり返す


引き出しの中に入ってないのはわかっているけど

ぼーっとしていると封筒を濡らしそうになったから


懸命に探すふりをして

胸から押し出して来るモノを

塞ぎ込んでは

見つかんねぇよと呟いた





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