舞雪


いつかにわかに雪は舞う
無音の景色に次から次へ
覆い被さりしんしんと

流れる日々を知るかのように
ただ静寂を生む優しさと
春への種を大地へ与え

けして隠すことはせず
そして曝すこともせず

せめぎ押し合うこの街に
空白をもって包み込む


どこかのおもいで雪は咲く
剥き出しの地と枯れた木々
触れるようにさらさらと

あかぎれ震えた誰かの指と
苦心の混じったはかれた息を
虚空の中に溶け込ませ

けして微笑むことはせず
そして忘れることもせず

桜色の花咲く季節へ
願いと共に降り続く


その時までは
やまない意思を心に秘めて

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春となってあたたく包み込む事が出来ぬのならば
せめて寂しい季節に咲いた雪でありたい

いつか優しい土から生える時
その血となって共に生きよう




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