浅夢


そこには箱が置いてあった

淡いクリーム色の包み紙に

赤いリボンが

硬く結んであった

宛先も送り先も書いて無い


僕は開けようと試みる

赤いリボンの両端を強く握りしめ

力任せに引っ張る

しかし そのリボンは解けること無く

それでも 形は崩れ もう少しで解けるはず

もう一回

・・・解けない

もう一回

・・・解けない


人に助けを求める

しかし 人は助けてくれない

僕を「ばか」だと止めたがる

だから 僕は諦めた

そして箱は僕の部屋に

窓辺の涼しい 優しい風の出入り口に

そっと置いておいた


それから日は照ることはなかった

かといって

風も吹かず 雨も降らず

毎日が暑くもなく 寒くもなく

何も無く過ぎようとする


箱は奇麗な包装のまま

窓辺に飾ってある


僕は肉刺が出来た手のひらを

優しく舐めながら

リボンが解ける悪夢を

幸せそうに見続けている





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